series #5 オクトーバー
BOX LIBRARYは美術に関する図書や資料が密かに集う場であり、今後、コーネルの箱のような空間のもとで定期的に図書や資料が入れ替わる予定です。 第五回目は現在最も問題提起的な雑誌のひとつといわれている『オクトーバー』(エイゼンシュテインの映画のタイトルから命名されました)を特集 します。『オクトーバー』は現代芸術全般(絵画、彫刻、映画、音楽、演劇、写真、パフォーマンス、文学など)を対象とした季刊(原則として)の批評 ・理論誌で、1976年にMIT(マサチューセッツ工科大学)の出版局から刊行されました。当時の編集者は、以前『アートフォーラム』誌で活動していた ロザリンド・クラウスとアネット・マイケルソンです。 『オクトーバー』の特徴は、芸術を固有の文脈から解き放ち、より広い文脈(社会的な文脈や政治的な文脈)と関連づけようとしたことです。ポストモ ダンを経た今なら驚くことはないかもしれませんが、当時はそうした新鮮な切り口を幅広い読者に提供できる雑誌は限られていたのです。イヴ=アラ ン・ボア、クレーグ・オーエンス、ダグラス・クリンプ、ハル・フォスター、ベンジャミン・ブクローをはじめとする錚々たる書き手たちも様々なか たちで協力しています。 『オクトーバー』のレベルに見合う雑誌を我が国で探すのは困難ですが、たとえば、『美術批評』(1952年創刊)はそれなりの影響力を持った批評誌の 嚆矢といえるかもしれません。現状を見ますと、『ART CRITIQUE』(2010年創刊)や『ART TRACE PRESS』(2011年創刊)などが候補に挙がるでしょうが、 「読者を選ぶ」という点でいずれもかなりマニアックです。今回、『オクトーバー』の貴重なバックナンバーの他に、我が国の批評誌の一部(『EOS』 、『POSITION』、『FRAME』、『APRO』)も参考展示します。

※BOX LIBRARYの図書や資料はMEDIA SHOP店内にて展示中です。是非ご高覧ください。