澤田華アートブック「見えないボールの跳ねる音」
刊行記念イベント

美術作家・澤田華の自身初となるアートブック「見えないボールの跳ねる音」の刊行記念イベントとして、京都のMEDIA SHOPにてアートブックの販売と作品展示を行います。

会期|2019年5月13日(月)- 6月7日(金)会期中無休
ご好評につき、6月7日まで会期が延長されました。
時間|12:00 - 20:00 
会場|MEDIA SHOP | gallery (1F,2F)
企画|澤田華、芝野健太
協力|MEDIA SHOP、Gallery PARC

●トークイベント
日時=5月25日(土)14:00-15:30
登壇者=澤田華、櫻井拓(編集者)、芝野健太(グラフィックデザイナー)

写真に写っている物体を指差し、「これは何か」と問う。その時問われている「これ」は、被写体なのか、色彩なのか、意味なのか、印刷(インクの網点)なのか……写真が現実そのものではなく、その不完全な対応物であるがゆえに、問いは連鎖してゆく。
このアートブックは、2018年に京都のGallery PARCで行なわれた澤田華の展覧会「見えないボールの跳ねる音」の展示物および記録写真を、本という媒体を通じて新たに構成したものである。澤田は、ある本に載っている写真の中で、コメディアンのローワン・アトキンソンが右手に持つ円形の物体や、左手に写る黒い影のような部分について、「これは何か」と問い続ける。決して正解へと至らず分裂し、入れ子状になってゆく問いに、「ポスト真実」の時代の、主観的なイメージ=情報の無限の連鎖の姿を見て取ることもできるだろう。
記録写真内の展示物を模すかのように、この本では、壁面に使われる素材、ケイカル板が支持体に使われている。そこに綴じられているのは、ピンチ・イン/アウト、サイズ、プロポーション、色彩、テクスチャー、印刷方式を異にするさまざまなイメージとテクストである。紙片をめくるごとに、ウェブブラウザで突然ポップアップ・ウィンドウが開くように、カットは階層を自在に移動し、大胆不敵に切り替わる。紙片を経巡ることで読者は、写真についての終わりなき問いの旅程に同行することができる。
巻末には、展覧会及び作家の基本資料に加えて、副田一穂(愛知県美術館学芸員)による展覧会レビュー「再現の際限」を収録。

澤田華アートブック「見えないボールの跳ねる音」 
385×385mm|73p|バインダー製本
限定100部|7,200円(税別)
著者=澤田華
論考=副田一穂(再録)
デザイン=芝野健太
撮影=麥生田兵吾(展示風景)
画像提供=Gallery PARC

澤田華(さわだ・はな)
1990年京都府生まれ。2016年京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程修了
主な作品発表・受賞歴
2019 群馬青年ビエンナーレ2019 奨励賞受賞
2018 個展「見えないボールの跳ねる音」Gallery PARC(京都)
2017 写真新世紀2017年度(第40回公募)優秀賞受賞
2017 1floor2017「合目的的不毛論」神戸アートビレッジセンター(兵庫)